真空熱処理は、真空下で加熱するため酸化や脱炭がなく光輝性にも優れています。
冷却においては、最高6barの高圧窒素ガスによる加圧冷却が行われるため、冷却速度が速く(φ100で火色消失時間が3分台)、硬度も組織もソルトバスに劣らない熱処理が可能です。加熱方法は真空加熱のほかにパーシャル加熱(1torr)、ガス加熱(700torr)が選択できます。
ステンレスの合金を固溶体範囲まで加熱し、過飽和固溶体を得る熱処理は急冷を要するため、急速冷却の出来る真空炉が適しています。
磁性材料の磁性焼鈍など、磁気特性に影響を与える粒界酸化のない結晶を得る処理にも真空熱処理は適しています。
真空下で放射加熱してオーステナイトの状態にした鋼を、窒素ガスで急速冷却しマルテンサイトと呼ばれる非常に硬い組織を得ることができます。冷却時には上下に配置された大型吸引ファンをプログラミングしたタイミングで交互に作動させ歪み対策を行います。そのため、他の焼入れ方法と比べ材の変形が少なく、手間のかかる後処理加工が削減できます。