拝啓 貴社ますますご盛栄のこととお慶び申しあげます。
前回“とりねつ”通信10による熱処理講習会の多数のご参加、誠にありがとうございました。
今回は、お客様の変形に関するご質問(その2)にお答えするために、第11号を発行いたしましたので参考にしていただければ幸いです。
Q.熱処理後の変形で困っています。なんとかなりませんか?
A.以前“とりねつ”通信4で熱処理による変形は、昇温時または冷却時における処理製品の表面と内部に生じ る応力によるもので、製品の内外を同時に加熱冷却することは不可能であるため、一時的に発生する膨張の差や、変態(結晶構造の変化)による応力により変形が発生することを説明しました。また、素材からの材取り(両面の均一性)や加工応力も変形の要因になります。熱処理したら変形は絶対発生すると考えたほうがよいでしょう。
“とりねつ”では、変形の発生しにくい処理を実施し、発生した変形の矯正(プレス焼戻し等)をベテランの熱処理技能士が実施して「熱処理変形補償範囲」(“とりねつ”通信4参照)の実現を目指しますが、1回の矯正で変形を補償範囲内にできないこともしばしばあります。その時は、お客様へ連絡し、納期等の条件による最適な対応をさせていただいています。
では、変形の無いまたは少ない熱処理(鋼を硬くする)方法は無いのか?
変形が全く無い処理は無いのですが、少なくする方法はあります。金型・部品の用途にもよりますが、全体焼入れを高周波焼入れの部分的な焼入れに変更または窒化処理を実施する方法もあります。また少々高価ですが、“とりねつ”が作り上げたトリソフト-Vという真空焼入れの方法もあります。
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