TEL 0859-24-0363

とりねつ通信

とりねつ通信12

拝啓 貴社ますますご盛栄のこととお慶び申しあげます。
朝夕冷え込む季節になりました。皆様方はいかがお過ごしでしょうか。

今回のとりねつ通信では、最近お問い合わせの多い窒素を使った熱処理について紹介します。
窒素を使った熱処理の代表的なものには窒化があります。以下に概略と、とりねつの窒素利用熱処理技術の一部を2回にわたって紹介致します。


とりねつの窒素利用熱処理技術

窒化の歴史的背景を紐解いて見ますと、1923年に、ドイツのアドルフ・フライ博士がアルミニウム、あるいはクロムなどを含んだ窒化鋼をアンモニア雰囲気中で約500℃の低温で加熱したところ、その表面に極めて硬い窒化層が出来る事を発見しました。当時より比較的低温処理で歪が少なく硬化可能との事で航空,船 舶,軍用品など精密部品から適用が始まっていきました。
窒化処理は表面硬化熱処理の一手法で、様々な金属元素と窒素を化合し、硬い窒化物を形成して表面を硬くする処理です。これは通常の焼入れを主体としたマルテンサイト変態を代表とする組織変態を利用した硬化法 とは原理が異なります。
窒化処理の主目的は、耐磨耗性、耐疲労性、耐腐食性、耐熱性の向上です。窒化しやすい特殊鋼で一番ポピュラーなのはAl、Cr、Moを含むSACM645(通称窒化鋼)です。他にはクロムモリブデン鋼などが窒化に適しており、最近ではステンレスへの窒化も可能となっています。


とりねつの窒素利用熱処理技術

  1. ガス浸硫窒化処理
    窒化層の最表面に硫化層を生成することにより、固体潤滑層を持つ表面構造を作ります。これにより、耐焼付性、耐カジリ性、耐摩耗性を著しく向上させることが可能となりました。この表面構造は、通常の窒化層より耐熱性、潤滑性に優れています。
  2. ガス軟窒化処理
    アンモニアガスに加えて浸炭性ガスを混合して供給する窒化法をガス軟窒化といいます。炭素鋼などを主体とした低級材料に安定した硬化層を生成することが出来ます。

~続きは次回


※お詫びと訂正

過去“とりねつ通信8”におきまして最大処理寸法を紹介しましたが、プラズマ窒化炉有効寸法に間違いが ありました。以下訂正いたします。ご迷惑をおかけし申し訳ありませんでした。

×誤) φ910×2000H  →  ○正)φ750mm×1700H


敬具